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ラレーとブリヂストン

真冬に自転車で走るのは寒いから、ちょっと躊躇う。だけど、それでも、セーターを重ね着して、マフラ
ーを巻いて、ダウンジャケットのファスナーを首まで閉じて、皮手袋をはめて、思い切りよく走り出せば、
その瞬間、季節には関係なく、白いフロントフォークの先に、気分のまま風になれる
自由の空間が出
現することを感得できる。それは、決して、広大な広がりだ、というのではないのだけれど、前進しよう
とする意志を誘い出し、思考を継続させるべき意識を支えてくれる。車が点と点を結ぶ「線分」の移動
や連結に有利なツールだとすれば、自転車は、いくつもの任意の線分が取り囲む「領域」の中に、新た
に見出される「無数の線分」をくまなく網羅することができて、それにより、僕たちの視線が探検し、好
奇心が塗りつぶした「面の広がり」を獲得することができる。もちろん片道1〜2時間くらいの「線分」を
往復するのにも最適だ。渋谷へ買い物に行ったり、自由が丘へお茶しに行ったり、そんな風に、都内を
走るのには、泥よけは必需品だし、それに、フロントのショックアブソーバーが装備してあれば、細かな
段差を越えるときなど、雲の上のように快適だ。ちょっとづつ気温が上がって、春がすぐそこにいる。

 

 

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