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フィリピンの文化 ♯6
フィリピンの聖週間(イースター)
2003.4.22(火)
カトリック教徒が大部分をしめるフィリピンでは、主イエスの復活の日曜日(復活祭=イースター)とその前一週間の「聖週間(Holy Week)」は、クリスマスに続く国民的な祭典である。
イースターは、「春分後の最初の満月から数えて最初の日曜日」と定められているため、クリスマスのように毎年同じ日ではなく、3月22日〜4月25日の期間を移動することになる。
(詳しい決め方については、以下のページが興味深くておすすめです。) http://www.geocities.co.jp/HeartLand/1987/easterdate.html#HAJIME

聖週間は、イエスがエルサレムに入り、最期の晩餐を行ない、十字架にかけられ、3日後に復活するという新約聖書の福音にもとづき、イエスの受難を記念して祈る期間である。2003年は以下のように、4月13日から20日までが「聖週間」にあたった。

13 日 受難の主日(枝の主日):イエスがエルサレムに入城した日
14 月 受難の月曜日:宮清めの日
15 火 受難の火曜日:神殿での説教の日
16 水 受難の水曜日:オリーブ山での説教の日
17 木 聖木曜日(主の晩さん):最後の晩餐の日
18 金 聖金曜日(主の受難):イエスが十字架にかけられた日
19 土 聖土曜日:女弟子たちが香油を準備した日
20 日 復活の主日(イースター)


枝の主日
カトリックでは、長い葉を編み込んでデコレーションを施した枝(そこここに露店が出て枝が売られている)を用意して教会に集まる。
カトリックではまた、パション(イエスの受難のものがたりを5行詩形式でつづった叙事詩)が、教会や礼拝堂、信者宅などで詠唱され、その声は街中に響き渡る。2組のグループによって交互に詠唱されるこの詩は"Kasaysayan ng Pasiong Mahal ni Hesukristong Paginoon Natin(我らの主イエス・キリストの受難)"というタガログ語のタイトルが冠されており、天地創造、キリストの生涯などが織り込まれている。

聖木曜日(Maundy ThuesdayまたはHoly Thuesday)
ユダヤ暦の週の第6日。木曜の日没から金曜日の日没まで、最後の晩餐からイエスの死、そして墓に葬られるまでを思い起こして悼む。

聖金曜日(Good Friday)
ユダヤ暦の安息日。金曜日の日没から土曜日の日没まで。イエスは金曜日の昼頃、十字架上で息を引き取ったとされている。
教会では、イエスが十字架の上で遺した7つの言葉 (Seven Last Words)を吟味するミサが行われる。
私も、タガログ語と英日対訳の聖書をもってこの"Seven Last Words Service"に出席した。教会に所属する7人の信者が順に壇上に上がって「言葉」を読み上げ、それに関する解釈を話し、その都度、祈りをささげる。さらに最後にはそれとは別に、司祭から「キリストのように私たちも永遠の命を得る」ことについての説教。朝の9時前から開始されて正午まで続く、長い礼拝だった。
この日は毎年、イエスの受難を追体験する「ペニテンシア」という儀式が行われる。パンパンガ州のサンフェルナンド市で行われるものは特に有名で、何人かの信者は上半身裸になってガラスの破片のついた鞭で自分の背中を打ち、血を流しながら歩いたり、イエスを真似て十字架にかかり、自分の手のひらに釘を打ちつけたりする。自分や家族の健康上の問題、身の上の問題など、特別な意向のある人がこの儀式にあえて申し込むという。私もテレビで見たが、とても痛々しい。ただ、これはパンパンガ州の観光アトラクションとなり、外国人を含めたたくさんの観光客が観光に訪れているという。(もっとも、カトリック教会は 感染症の危険性を警告している。)

聖土曜日
土曜日の日没から日曜日の日没までの夜は、「復活徹夜祭」として教会で盛大に祝う。

復活の主日(Easter, Mahal na Araw)
聖書によると、イエスの死後3日目の日曜日の夜明け、イエスの墓に向かった女たちは、墓が空であることに気がつく。
この日は朝から、復活の喜びを表現する歌や踊り、復活したイエスとマグダラのマリアの出会いがミュージカルなどが、教会で行われる。なお、日本でイースターといえば思い出される卵のペイントは、こちらではあまり行われていない。


聖週間の中でも、聖木曜日、聖金曜日、聖土曜日はとくに「聖なる3日間(聖なる過ぎ越しの3日間)」と呼ばれている。聖木曜日と聖金曜日は祝日に指定されており、土曜日も慣例として休日とされるため、最低でも毎年、4連休となる。(さらに、今年は大統領令で聖水曜日もが公務員は「自由出勤日」とされていたので半ば休日だった。加えて、大学はすでに夏休み期間に入っていたこともあり、月曜日から図書館や食堂もろくに営業していなかった。だから、実際にはもっと長い休みを得た人も多いだろう。)
これは、Easter Holidayと呼ばれ、多くの人は故郷に帰ったり、親戚の家に行ったり、またはバギオやパラワン、セブなど、地方のリゾートへ出かけたりする。いわば、日本のゴールデンウィークのようなものである
木・金曜日は、銀行やオフィスはもちろん、デパート(あの最大規模のデパート、SMすら)やレストラン、サリサリストア、地方のマーケットなどもほぼすべて休業し、営業しているのはホテルや異教徒の店、コンビニエンスストアのみとなる。テレビ放送はイエス復活を題材とした映画や、大きな教会のミサ中継ばかりとなる。さらに、聖金曜日は、船や長距離バスなどの公共の交通機関も「縁起が悪いので」営業を見合わせることが多い。(もっとも、人々が教会に赴く足としてのジープニーやトライシクルは走っている。)

この聖週間中に大変な目にあってしまった日本人の知人がいる。タイの大学に所属している彼女とは、2年前に東京で行われたある集まり(彼女は一時帰国中、私は上京中)でたまたま席が隣同士だったので少しお話しして、帰りに駅で別れてそれっきりになっていたのだけれど、このほど偶然に、エルミタで再会してしまった。(彼女はタイからフィリピンに旅行中。)顔を見ただけで、お互いすぐに思いだしたのだからスゴイ。)
彼女は聖水曜日の朝、マニラからバギオ行きのバスに乗り、木曜日にはバギオとバナウエを観光した。バンコクに戻るフライトは聖土曜日。彼女は、聖金曜日のバスでマニラに戻るつもりでいた。ところが、バスが運行していない。さらに、航空会社も休業中で(もっとも、すべてが休業しているはずはないのだけれど、少なくともオフィスは休業中で)電話が繋がらず、帰りの便のリコンファームも変更もできない。
結局、彼女はバスではなくバギオ‐マニラの航空便(所要時間45分)をおさえ、なんとか予定のフライトに間に合って、無事にバンコクに戻った。こちらの人いわく、人々がいっせいにマニラから地方に移動し、そしてUターンする「民族大移動」とも呼ばれるこの混雑時に、国内便がおさえられたことも奇跡的という。無事で何よりだが、こうしたアクシデントは、外国人、特に日本人の身には頻繁に起こりうることだと思う。なぜなら、
1)キリスト教国以外からの旅行者はこのイースターの特殊性を知らない
2)イースターは毎年時期を変動する。昨年の同時期にはうまくいったことが、今年はそうはいかないかもしれない。
3)こちらの人は、当たり前だと思っているので誰も忠告してくれない
4)イースターは3月22日〜4月25日の間を移動するので、何も知らず春休みで渡比する日本人はこの罠にはまりやすい。
私も、昨年(2002年)、何も考えず、3月中旬〜下旬に3週間マニラに滞在したのだが、ちょうど3月の最終週が聖週間にあたり、長距離バスは渋滞で動かないし、役所も大学図書館も閉まっているしで、最終週にはほとんど何も予定通りには進まず、困ってしまったのを覚えている。

この時期に日本からマニラに渡航される方はどうかお気をつけください。


        
 

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