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2004年大統領選挙 ♯0
プロローグ
"Goodluck sa stay mo pa sa Philippines, wag ka muna umuwi na March hintayin mo pagkatapos ng election and see the real meaning of election and democracy in the philippines."
(君の残りのフィリピン滞在に幸あれ。3月に帰っちゃだめだ。選挙が終わるまでここににいて、フィリピンにおける選挙とデモクラシーの真の意味を見るべきだ。)

これは、2004年が明けて最初に、フィリピン大学の友人から送られてきたニューイヤー・メッセージだった。

私は2003年3月から1年間の予定でフィリピンに滞在し、住民運動の「調査」を行っていた。2003年といえば、「選挙を控えた年」。まさに、年も半分を過ぎると、誰も彼もが次の選挙について話すようになっていた。首都圏から大規模な立ち退きがなくなり、貧困者にはこれみよがしなさまざまな恩典が与えられ(これについては私の修士論文に登場するので、いつかここでも公表したいと思う)、新聞もニュースも、いったい誰が立候補するかといった話題に終始した。2003年10月4日には、「再選は目指さない」と公言していたアロヨ大統領(当時)が前言を撤回して立候補を宣言。11月にはもっとも有力と目されるフェルナンド・ポー・ジュニア氏(元エストラダ大統領の親友で俳優)が立候補を表明、12月に野党連合結成(フィリピンの政党は名ばかりなので選挙ごとにさまざまな連合が生まれては消える)。

こうしてフィリピン中が、2004年5月10日の総選挙に向かって動き始めた。

2003年12月末〜1月5月  大統領選立候補届け受付
2004年2月9日(3ヶ月前) 国家政治レベルのキャンペーン解禁
2003年末(45日前)     地方自治体レベルのキャンペーン解禁
2004年5月8日        キャンペーン最終日

(…もっとも、キャンペーンが解禁になる以前から露骨な選挙活動があちこちで繰り広げられているのはもはや周知の事実。)

この選挙で選ばれるのは、正副大統領、上院半数(12名)、下院全数(選挙区約200名およびParty List約50名)、正副知事(Province Governer)、Province議会議員、正副市長(Municipal またはCityMayer)、市議会議員の総数17,729名。この数字は選挙管理委員会(COMELEC)の発表によるもので、内訳は次のとおり。

レベル 役職 ポスト人員数
国家 大統領 1
副大統領 1
上院議員 12
下院議員(Party List) 53
下院議員(地方区) 212
Province Governer(知事) 79
Vise Governer(副知事) 79
Board Members(議員) 758
City Mayor(市長) 115
Vice Mayor(副市長) 115
Counsilors(議員) 1,288
Municipality Mayor(町長) 1,500
Vice Mayor(副町長) 1,500
Councilors(議員) 12,016
合計 17,729

大統領と上院の任期は6年、ほかは3年なので、大統領選挙は6年に1回、ほかは3年に1回の「中間選挙」が行われる。最近の選挙歴を見ると、

1997年5月:バランガイ選挙※ 
1998年5月:<総選挙>正副大統領、上下院、Municipality
2001年5月:<中間選挙>上下院、Province、Municipality
2002年7月:バランガイ選挙
2004年5月:<総選挙>正副大統領、上下院、Municipality(予定)
2007年:バランガイ選挙(予定) 

要するに、「総選挙」では、バランガイ(地方行政の最小単位)以外のほぼすべての役職が入れ替わる。その6年に1度の年が、2004年だというわけである。17,729のポストをめぐり、全国でいっせいに、同じ日に、同じバロット(投票用紙)でいっせいに人が選ばれるのである。

やはり市民の関心は、主に大統領と市長に向いているが、なかでも大統領選挙への関心の高さは驚くばかりである。NGOは堂々と選挙キャンペーンに参加協力を表明し、住民組織も統一候補を立てては、その引き換えに候補者をコミュニティに呼んで公約をさせたり、お金を落とさせたり、ということを公然と行っている。私はただたが驚くばかり。そんな私に、友人たちは口々に
「3月に帰るなんて、もったいない。少なくとも5月10日を見なきゃ、フィリピン政治は理解できないな」
と言うのだった。私も、6年に1度のこの日の前後は、ぜひともフィリピンにいて、調査地の投票所の様子を見たり、都市貧困地区の投票所近くではきまって配られる「サンプル・バロット」(先述のように、すべてが一枚のバロットなのであまりにややこしく、難しい、と思っている人々のために、「このとおりに書けばOKです」と見本を示した本物そっくりのサンプルを各候補者の支援団体が配る。無論、その候補者のところに丸がついているのだが)を集めたり、その前後の新聞雑誌を集めたりしたいと強く思うようになった。

こうして私は、2004年3月にいったんは日本に帰国したものの、それから1ヶ月とたたないうちに、ふたたび選挙戦に熱狂するマニラに舞い戻った。


Barangay(バランガイ)レベルだけが、任期が5年のため、選挙は、2と7のつく年に実施されます。最近の選挙は2002年でした。全国で、約70万人が選ばれたということです。選挙の対象となるのは1つのBarangayにつき、Chairman(キャプテンとも言う)1名、 Kagawat(評議員)7名、 SK(Sangguniang Kabataan、スポーツ会などを企画する15−18歳の青年部門リーダー)1名。Secretary(書記)とTreasury(会計)は指名制で、Barangay評議会は計11名で構成されることになります。


        
 

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