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2004年大統領選挙 ♯9
選挙ボーナス
2004.5.13(木)
選挙の3日後、私はあわただしく日本に帰国した。本当は選挙終了後、最低2週間くらいは現地で人々の話を聞いたり、反応を見たりしたかったのだが、、大学院の授業もすでに1ヶ月休んでいることだし、マニラにいると政治活動にばかり明け暮れてちっとも机に向かって勉強しない私のこと、いいかげんで帰らないと、修士論文が書けない。
ちょうど1ヶ月の滞在。1年間もいた前回とは違い、今回は、時間がかぎられている一方で手に入れたい情報も定まっており、調査は順調に進むはずだった。しかし、選挙前がこんなに「非日常」だとは知らなかった。NGOも教会も住民組織も教育機関も、とにかく、誰も彼もが選挙について語る。おかげで、予定したいたインタビューもままならないこともあったが、同時に、この国のNGOや住民組織の政治的性格というものを、いまさらながらに、もう十分というほどに見せ付けられ、非常に勉強になった。なるほど、こういう背景があるから彼らは日ごろああいった戦略をとっていたのだ、こういったことが原因となって彼らは政治化しているのだ、と、私は今回の選挙前の数ヶ月を通して、ようやく断片的に、彼らの政治行動の背景を理解しかけてきた。その点で、6年に一度のこの機会に立ち会うことができて、非常に良かったと思っている。
それに、なんといっても、私の人生のなかで、選挙カーに乗ったり、国の元首を決める選挙のキャンペーンに関与したりするようなことが今後ふたたびあるだろうか?

私はフィリピンの業界No.1の新聞「デイリー・インクワイラー」は毎日購読している(私がマニラにいない間も知人に頼んで買っておいてもらっている)が、選挙前後はそれに加え、英文主要紙といくつかのタガログ語のタブロイド誌も購入、おまけに、選挙前にやたらと続々と「創刊」される(そして第一号だけで廃刊となる)政治雑誌やオピニオン誌を買いまくったため、今回も帰国時は荷物の重量が大幅にオーバー。日用品や衣類はまた行くときのためにすべてマニラの知人のところに置かせてもらっているので、賞味の荷物は書籍や新聞だけなのに、ダンボールは軽く30キロ。手荷物のキャリーバックは20キロ。

30キロのダンボールをチェックインしようとすると、まず「追加料金を!と言われた。チェックイン荷物の制限は25キロが上限だ。そこをなんとか懇願して30キロのダンボールを追加料金なしで入れてもらい、手荷物チェックを受けて中に入ろうとすると、また呼び止められた。手荷物の重量制限は7キロだという。私は20キロのキャリーバッグと3キロのリュック(パソコンと周辺機器がが入っているため)を持っているのだから、見るからに怪しい。
しかし、結局、これまた懇願して入れてもらった。
いったいどうやって懇願したかというと、ここでも選挙グッズである大統領候補のロコ氏ののワッペンが活躍。私はこれをカバンのかなり目立つ位置に貼り付け、段ボール箱にはA○BAYANとロコのステッカーを貼っておいた。見た人は一様に、にやりとして「おっ、お前はロコのサポーターか」と言うのだが、何しろ、どの選挙速報でもロコはまったく見込みのない最下位なので、それ以上の危険な政治議論に発展することもなく、「ロコか…弱いなあ」という苦笑で済んでしまう。
これを利用して、
「ねえ、私、ロコサポーター。でも、ロコは弱い。テーマソングは『この国の望みはただひとつ、それはロコ♪』だったけど、彼こそが望みなし…かわいそうでしょ。ねえ、チャージは見逃して。この荷物の中身もロコグッズや新聞なのよ。もう使わないので日本に持って帰るから。」
「私は報われないアクティビスタ、失意のうちに日本に行くのです」
と言うと、空港職員は大笑いで通してくれた。
53キロ、追加料金なし。みなさん、ありがとう。ロコ候補、ありがとう。

それにしても、手荷物は7キロまでなんて、以前はそんな規定はなかったはずなのに…今後、フィリピン国際空港ターミナル2をご利用の方はご注意ください。
加えて、マニラの空港職員は、外国人、特に日本人には厳しく、何かと難癖をつけていらないチャージまで余分に取ったり、チップを要求したりすることで有名。今回のように笑って見逃してくれるなどというケースは、まずありえない。絶対にまねをなさらないように。だまされこそすれ、得はありません。これはあくまでも、「選挙ボーナス」だったと考えることにしましょう。

 
空港への道すがら、
選挙ポスターをはがしている
清掃員の方々に会った。
これが私の荷物。
スーツケースよりダンボール。
何より軽いし、
これならあまり日本人に見られない!



        
 

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