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フィリピン社会と政治 ♯3
遺伝子組み換え作物
2003.5.5(月)
フィリピン政府は、遺伝子組み換え作物(GMO)の商品化と生産を承認したらしい。具体的にはモンサント社のBtコーンの作付けが認められた。
「未知の毒性があるのではないか」、「在来種と交配してそれが広がってしまい、生態系の破壊に繋がるのではないか」、「ゆくゆくはモンサント社にすべての利権を握られてしまうのでは」などの理由から、それに反対する人々が、農業庁(Department of Agriculture, 通称"DA" )前でハンガーストライキをしている。今日で14日目。最年長者は50歳の男性である。支援団体はグリーンピース、Philippine Green、National Committee on Bio-safety of the Philippines、PABINHIなど。

今日は、DAの横の"Beaurou of Soil and Water Management"(土壌・水資源管理庁?)というところで、DA側の法律家とこれらの団体のコンサルテーションが行われた。知人に誘われ、私も会合をオブザーブさせていただいた。

学部時代に所属していたサークルで、数年前、GMO導入の是非をめぐる英語ディベートをしたことがある。数ヶ月にわたって国内外の資料を集めたり、文献を読んだりしたので、GMOについてはある程度の背景知識はある。加えて、コンサルテーションは英語とタガログ語が9:1くらいの割合だったので、容易に理解ができた。(「交配」だとか「殺虫剤」だとか「耐性」などというマニアックな単語をタガログ語でいわれても私はまったく理解できないだろう。)

DAとの議論はまったくの「ものわかれ」に終わっていた。「実害はない」との政府判断に対し、「実害があると証明されたわけでもない。でも、実害がないと証明されたわけではない。もっとゆっくりと調査をすべきだ。私たちはGMOを廃止しろと主張しているわけではない。安全確認のために、商品化・作付けの実施までにもっと猶予期間(モラトリアム)をとってほしいだけだ。」と主張する環境団体。それに対して、「私には決定権はない」との返答を繰り返すDAの法律家。議論は堂々めぐりを繰り返した挙句にお開きとなった。このイシューに関しては、アドボカシーはまだかなり難しい状況にあるようである。ストライカーたちは、モラトリアムが受諾されるまで続ける覚悟だという。
政府との対話の体制すら整っていないところを見ると、まだまだ交渉も初期段階なのだろう。今後の彼らの戦略と展開が気になる。

マニラでは毎日のように、このようなピケ、デモ(「ラリー」と呼ばれる)などの街頭抗議行動を見かける。


        
 

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