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フィリピン社会と政治 ♯7
NEWSBREA誌
2003.11.10(月)
私はフィリピンで、「NEWSBREAK」という隔週発行の雑誌を定期購読しており、毎号、大学の研究センターに送ってもらっている。
大手の英字新聞「フィリピン・デイリー・インクワイラー」誌と同系列のこの雑誌は、批判的な論調が特徴である。最近のニュースを特集した記事も面白いが、特に、NGOの裏事情や、政治家の個人的な人間関係に関するコラムなど、いかにもジャーナリズムといった暴露記事は読み応えがある。2001年1月に創刊された(当時は週刊で白黒だった)まだ新しい雑誌なので、ぜひとも、バックナンバーにすべて目を通してみたいでみたいものだと思っていた。が、フィリピン大学の図書館にも全巻は揃っておらず、そのほか、心当たりのあるいくつかの図書館や資料センターに電話で尋ねても「置いていない」という。こうなれば直接、編集部に聞くべし、と、私はNEWSBREAK社に電話をかけた。
「もしもし。えーと、NEWSBREAKのback issueを読みたいのですが、そちらに伺えば見せていただけますか? 図書館などありますか?」
「図書館はありませんが、私たちのオフィスにはback issueのファイルがあるので、ここで読んでいただけます。月曜から金曜の午前9時から17時までの間に来てください。」

おお。場所を確認し、さっそく私は、オルティガスにあるNEWSBREAKのオフィスを訪問した。高層ビルの8階にオフィスはあった。奥に長い不思議なオフィスで、3部屋に仕切られており、一番奥が編集室、真ん中が印刷室、手前が事務局のようだった。「いつの記事が見たいのですか?」と聞かれたので、「私はNEWSWEEKが大好きな日本人でして、できれば、2001年からの分を全部見たいのです。」と答えてみた。すると、そこにいた数人のスタッフはとても協力的に、4冊の大きなファイルを出してくださり。、「うちは図書館はないですが、そこの空いている机を使ってください。Take your time(ゆっくりどうぞ).」と言ってくれた。
お言葉に甘えて、本当にゆっくりさせていただいてしまった。何しろ、途中までは週刊だったために、2001年分を読み終えるだけで17時になってしまい、結局、日を改めてもう一度訪問、2日がかりでやっと、すべてのバックナンバーに目を通すことができた。興味のある記事はポストイットでマークし、最後にコピーする。コピーは1枚1.5ペソと、普通の図書館くらいの値段(フィリピン大学内では1枚0.5ペソ〜0.75と特別に安い)で、セルフサービス。フィリピンでは多くの場合、コピーは担当の人に頼んでやってもらうシステムなので、「縮小」、「拡大」、「このページは両面で」、などの複雑な注文をすることができない。これは実際、かなり不便である。それに、今回のように大量のページにマークをつけた場合には、それが「開始と終了」をあらわすものなのか「このページのみをコピー」という意味なのかなど、つけた本人でないと分からないことが多い。自分でする場合なら、どこのページをどのようにコピーするか、いちいち考えながら、自分の好みどおりにすることができるのだ。

NEWSBREAKさまの暖かいご協力のおかげで、私は、期待していた以下の項目に関する記事を、一通り集めることができた。

1) 2001年1月の政権交代
2001年1月、エストラダ元大統領の公金流用疑惑をめぐる弾劾裁判への証拠開示問題をめぐって、エストラダを追放すべきだとする人々がEDSA通り沿いのSM Megamallの横にあるエドサ大聖堂前)を埋め尽くした。ここは、1986年にマルコスが追放されたときにも人々が結集した場所であり、1986年の政変劇をEDSA1(またはピープルズパワー1)、2001年1月の出来事をEDSA2またはピープルズパワー2と呼ぶ。

2) 2001年5月1日暴動
政変から約3ヵ月後の4月末からメーデーにかけて、エストラダ擁護派が、アロヨ政権に対して暴動事件を起こした。貧困層の人気者だった(とされる)エストラダ氏の逮捕を不当とする都市貧困地区の人々がまたしてもEDSA広場やマラカニアン宮殿付近のメンディオラに結集して流血の暴動を起こした。エリートのアロヨ陣営に不満を訴える貧しい人たちの声の爆発として、「EDSA3」「ピープルズパワー3」と呼ばれたが、実際は、エストラダ派の団体が、マニラの都市貧困地区にジープニーを手配し、1日約200ペソと昼食を支給して、まったく文字通り人々を買収し、動員したのだということがすでに明らかになっており、EDSA3というのは通称に過ぎない。なお、私の調査地のPA地区はエストラダの支持者がきわめて多く、このときも、かなりの買収・動員が行われた地区として有名である。

3) 2001年5月の中間選挙
大統領選挙は6年ごとだが、フィリピンでは3年ごとに、中間選挙と呼ばれる選挙があり、上院議員の半数、下院議員(小選挙区約200名、パーティリスト約50名)、Privinceレベルの知事、副知事、議会議員、MunicipalityまたはCityレベルの市長、副市長、議会議員が選出される。これらが大統領選挙と重なる年には、同じ日に、同じバロット(用紙)で選挙が行われる。地方行政の最小単位であるBarangayの選挙だけは5年ごとに、2と7の付く年に行われる。たとえば、最近の選挙は、以下のようになっている。
1998年5月:正副大統領、上下院、Province、Municipality
2001年5月:上下院、Province、Municipality(中間選挙)
2002年7月:Barangay
2004年5月:正副大統領、上下院、Province、Municipality(予定)
2007年:Barangay(予定) 

4) 都市問題
都市貧困、ゴミ処理、洪水対策などの都市問題、およびメトロマニラの都市問題を扱うMMDA(メトロマニラ開発庁)の方針などに関する特集記事。

その他、
5) フィリピン共産党と政権の和解交渉
6) 分裂したフィリピン左派の動向
7) 下院における政党リスト制(party-list system)の問題点
8) 閣僚ポストに登用されるNGO出身者(カリーナ・デビッド氏やディンキー・ソリマン氏など)
9) NGOのビジネスと汚職(暴露記事)
などなど。疲れたので詳細は省略。


…というわけで、2001年以降の主要ニュースを検索したい方は、ぜひ一度、NEWSBREAK社に行ってみて下さい。MRTのオルティガス駅から徒歩10分、SM MegamallのA館とB館を分けているVargas Avenueをまっすぐ東に進み、Meralco Avenueとの交差点の南西の角にある、Antel Global Corporate Centerという高層ビルの806号室です。ビルの入口でIDを預けて入ります。もっとも、図書館もないのにあまりバックナンバーを見たい人ばかりが行くと迷惑かもしれませんが…。
それでは、親切にしてくれたNEWSBREAK社にあまりに申し訳ないので、回し者ではありませんが、購入の宣伝を。このNEWSBREAK、書店で買うと1冊75ペソですが、年間購読にすると大幅に割引となり、希望の住所に毎号届けてもらえます。マニラ首都圏であれば年間25冊分が送料込みで1,125ペソ、マニラ首都圏以外では1,950ペソ、国外への発送は、アジア地域なら90ドル(つまり1冊約360円)です。Time誌やFortune誌などに比べると英語もわかりやすく、フィリピン料理や話題のスポットなどに関する記事もときどき掲載されています。なお、見出しや記事の一部はウェブサイトで見ることはできます


        
 

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