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フィリピン大学での授業 ♯3 
地域組織化のロールプレイ 本番編
2003.7.30(水)
カリト先生のクラスのロールプレイの発表が、無事に終了した。フィリピン大学同カレッジの先輩であるラピス&パペルさんの「考えるノート」の掲示板でもお二人にコメントいただいたが、日頃は饒舌で度胸があり、積極的にリーダーシップを取っているようなクラスメイトが、なぜか本番になるとものすごく「あがって」しまい、台詞を忘れたり、声が小さくなってしまったり…という現状に驚かされた。日頃はとてもオープンで堂々としていて、パブリック・スピーチの上手なクラスメイトたち。アメリカ的だなあ、と思っていたけれど、やはり、何かしら「アジア的」な部分もあるのかもしれないなあ、と思った。一方、私はものすごく「本番に強い」タイプで、グループメイトに「どうして緊張しないの?秘訣は?」と訊かれてしまった。
私は老婆役で、住民たちがオーガナイザーを交えて米の値段について話しているところにやおら料理用油を買いに現れ「ちょうどいまいいところだから、あんたも座ってききなさいよ」と言われて、「何についての話?たぶん、私わかんないと思うけど。だって、耳が悪いから」と答えるのだが、そこでなぜか観客は爆笑。あとから「どうしてみんなあそこで笑ったの?」ときいてみると、「『だって』のあと、『日本人だから』って続くのかと思った」とのこと。「すごいなあ、耳が悪いから、だなんて最高のジョークだよ。確かに、それならあまり喋らなくてもおかしくないもんね。すごい脚本だ」と、脚本を書いたEは皆に誉められていた。私にはいったいどこがジョークなのだかさっぱりわからないのだけれど…。それ以降、私がタガログ語を理解できなくて聴き返したり、わからなさそうな顔をしたりするたびに「ほら、sagingは耳が悪いから理解できないんだよ」と言われる始末…。

さて、劇のなかで、suman(ライスケーキ。米をココナツミルクで蒸し、葉で包んだお餅のようなもの)の売り子が来てコミュニティの住民たちの議論に加わるシーンがあったのだが、売り子役のクラスメイトが張り切って本物のsumanを30個以上も買ってきた。そしてなんと、住民役のグループメイトたちは、劇でそれを本当に食べたのである。私もつられて食べてしまった。もぐもぐしながら台詞を言う住民。リアル。これも、「いかにもフィリピンらしい」といえるだろう。…劇が終わっても大量にあまっているsumanを見て、先生が「そこのミリエンダ(おやつ)は私たちがもらっていいのかな?」とおっしゃったので、私たちは大笑いでそれらをクラスに配り、食べながらの授業となった。
おもしろいのは、授業の後、劇の成功を祝ってグループの皆で、大学構内のUniversity Hotel(昔のPCED Hostel)に「打ち上げ」に行ったにも関わらず、sumanを一人2つも食べたおかげで皆、お腹が一杯で何も食べられず、ビールを飲んだだけだったということ。

劇の終了後、現役オーガナイザーのEが、この脚本が出来上がるまでの議論の流れを皆に説明した。オーガナイザーは第三者なのか否か、どこまで質問責めにしてよいのかどうか、など、私たちが練習の中で直面したテーマを話した。拙サイトのWait&See(日和見BBS)でも書いたことだが、ロールプレイで私たちのグループが想定したのは「タガログ語圏の仮想の農村」であった。農村出身のグループメイトはいても、実際に「貧しい」農村でオーガナイザーとして働いたり調査をしたりした経験のある人は皆無。Eのフィールドも、農村というより郊外(マニラ通勤圏)にあたる、マニラに近接したブラ○ン・プロビンス。だから、本当に人々に農地改革の情報(名前だけでも)が知れ渡っているのか、水場がいったいどのくらい遠いのか、知らないままに、きいた知識だけで脚本が作られたのである。劇を作っているときにもそれが問題となり、「もし時間があれば、本来は、このグループ全員で何日かひとつの農村に行ってインテグレーション(地域に溶け込むこと)や社会調査を試みた上で、そこのコミュニティをモデルにするべきだよね」という意見が出された。まさにその通りである。Eはそのことも授業内で発表し、カリト先生にも「そのとおりだ」と言われていた。やはり…。私も、都市貧困地区を事例としているが、この1年の滞在中に一度や二度は、農村地区に滞在してみたいなあ、と思っている。都市貧困地区を形成している人々の多くは農村出身者なのだから…。

このロールプレイをつくる過程で、本当にいろいろなことを学んだ。オーガナイザー経験または社会経験の豊富な社会人学生のグループメイトの議論から、コミュイニティ・オーガナイジングのさまざまな側面に気づかされることは多かった。聴講を許してくださったカリト先生と、私にもできるような役を真剣に考えてくれたグループメイトに感謝。皆へのせめてものお礼として、当日撮った写真を焼き増しして、来週さっそくプレゼントする予定である。


        
 

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