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Fence-sitting


活動家時代の記録 ♯3 
エチオピア・ウガンダ訪問 第2日目
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1998年8月4日  

真夜中のバンコク空港で延々4時間待ったあと、ようやく次の飛行機に乗ることになった。ボーディングパスをメンバー同士でみせあうと、全員がA〜Fに集中していた。団体だからかなぁと言いながら、「エチオピアンエアライン」の搭乗口へ向かう。…窓から機体を見て私たちは驚いた。とても小さい。「これは国内線? ヘリコプター?」と聞きたくなってしまうほど! おそるおそる乗ると、一列3/3の6シートだった。どうりで、座席がFまでしかないわけだ。(通常は3/4/3の10シート以上だから、Jくらいまである。) 未明、ボンベイに着陸。給油のため1時間とまる。寝ていたので詳しくはわからない。
空が明るくなる頃、機内食が出された。といっても、時差の関係でかなり長い間夜が続いていたようだ。私は今回のツアーの「記録係(書記)」なのでノートに時間を記録していたが、だんだん意味がなくなる。エチオピアンエアラインのフライトアテンダントは、寝ている人を乱暴に起こして機内食を出す…。生野菜のサラダが出された。「食べちゃだめですよ」とスタッフが注意して回っている。生野菜は、どんな水で洗っているかわからないから食べてはいけないのだそうだ。生クリーム類も、氷入りドリンクも。私はこうしたおきてを無視しても大丈夫な肉体を持っているので、気にしない。氷入りって、ほんとうに危険なのかしら。そんなこと言うなら、たとえばナッツも危ない。日本に輸入されるナッツには、殺菌方法や種類や炒り方などの一定基準を満たしているものだけである。ところが、外国には日本のような基準はないので、日本のナッツにはいないような菌がいる危険性が高いのである。機内食のおつまみくらいなら心配ないだろうが、ナッツ入りアイスクリームなどは危険だ。けれど、多くの人は知らないし、旅行ガイドにも、生水・生野菜・生クリームまでは警告されいても、ナッツに注意とは書いていない。生野菜にこだわるならナッツにも手をつけないことだ。

それからしばらく寝ていたらアジズアベバ(以下アジズ)に着いた。現地時間10時。こう書くとあっという間のようだが、アジズは日本より6時間おくれているため、時間的には丸一日かかったことになる。
アジズの空港に降り立った。とても涼しい。入国手続きをする。先頭だったのでさすがにドキドキした。何事もなかった。預けた荷物も全員分ちゃんとでてきた。エチオピアではここで入国手続きの他にもう一つ特殊な手続きが必要だ。所持金の申請である。持っている通過の種類と金額を全部申請用紙に書いて提出しなくてはならない。例えば、JPY(日本円)¥10000、USD$150などという風に。現金かT/Cか小切手かまで厳密に書く必要がある。そして、観光ビザの外国人は申請した以上の額を持って出国はできない。外貨は貴重だから、持ち出されると困るのだ。だから、エチオピアで金儲けをすることはできないのだ。外貨の持ち込みには制限はない。しかし、出国の際に一人10ブル以上を持って出国はできない。それ以上は没収される。10ブルは約420円。ブルを国外に持ち出されことは経済に負担がかかるので、厳しく制限されているのだという。(しかし、実際は出国の際の所持金検査はそう頻繁に行われるものではない。)申請用紙の記入方法は複雑でややこしかった。そして、それを全員に伝えるには時間がかかった。申請書はカーボン紙つきの3枚綴り。カーボンの質が悪くて、相当力を入れないと写らない。カウンターで後ろの2枚をちぎってもらって、1枚目を控えとして保管するしくみだ。
いよいよ空港の外に出る。バスが待っている場所まで歩かなくてはならない。何しろ団体なので、間をあけないように並んで行動するのが大変だ。しかもバスは、普通ではちょっとわからないところに停まっていた。鉄の柵を越えて行かなくてはならない。誰が、そんなところにバス停があると想像できるだろうか?と疑問を感じるほどの怪しげな所だ。歩く傍ら、荷物をバスまで運ぶといって人々がついてくる。でも、バングラデシュやインドの空港のように物乞いがわっと群がって来たり、花を売りに来たりするようなことはない。ポーターだけだ。
バスの前に、先発隊のメンバーが迎えに来ていた。お互いの無事を確認して、バスに荷物を積んだ。そこへ、エチオピアのYEHメンバーが到着し、5歳の子どもからYEHジャパンへ花束贈呈が行われる。バスに乗って、ホテルまで30分あまり。道路は舗装されており、鉄筋のビルも目立つ。なぜか工事中が多い。レストラン、旅行代理店、シアターなどが見える。以外に殺風景だ。緑が少ない。人も少ない。そう感じるのはバングラデシュやマニラと比較してのことだけれど。
今日からの生活の拠点となるヨルダノス・ホテルについて、チェックインする。4階建てのホテルだ。けれどイギリス式で、実質上の1階がロビー、2階の部屋が101、102…という風になっている。バングラでもそうだった。私は306なので、4階ということになる。エレベーターは当然ないので4階まで階段で上がると、信じられないほど息が切れた。さすがは標高2500メートル。空気が薄いことを実感する。

食堂に集合して、ランチを食べながらエチオピアのメンバーとスピーチを交換した。96年に来日して京都を含め9都市で講演を行ったエチオピアリーダーのムセ・ハイルに会った。インドネシアのメンバーもホテルに到着した。久しぶりの再会を喜んだ。これから続々と各国のメンバーがホテルに到着する。楽しくなりそうだ。
食事は適当に配られた。パンとチキンと、野菜スープをいただいた。エチオピアの食事は一体どんなものかと思っていたが、特別どうということはない。少し味が薄いが、濃いよりは遙かにいいだろう。食事中に、先発隊でもうこのホテルに既に1週間滞在している人たちから、部屋の使い方についての細かい注意があった。まず、シャワーは出してから15分たたないとお湯にならない。まぁこれは覚悟していた。それから、気温がとても低いということ。特に夜。そして、毎日雨だということ。私は、エチオピアの雨期はアジアと同じようにスコールのようにさっと降ってさっとやむものだと思っていたのだが、日本の梅雨のようにしとしとふりつづくものらしい。それから、蚊に気をつけること。もっとも、どちらかといえば蚊が恐いのはウガンダだから、マラリア予防のピルをちょうど今日から9月1日まで、毎週飲まなくてはならない。それでもかかることもあるそうだ。こういう伝染病が一番恐い。黄熱病の予防注射がビザをとるときに必要だったから6月に受けたが、その時にもマラリアとコレラとC型肝炎の予防接種も勧められた。もっとも、黄熱病自体が10年間有効の結構きついワクチンだったため、他にそんなにたくさん受けるわけにはいかず、マラリアのピルだけにした。やっぱりマラリアは恐いから。
ランチのあと、荷物をほどいていたら「ホテルの周りを歩こう」とエチオピアのメンバーに誘われた。少人数だと心配なので他にも声をかけ、日本の男子メンバーも同行することになって出発した。ちょうど雨があがっていた。とても涼しい。メインストリートから一歩はいると道路は全然舗装されていないことがわかった。路地裏という感じだ。道がぬかるんで歩きにくい。道だか家だかわからないようなところで、裸の子どもや、裸足の大人が生活している。これは、貧しいというのか? この国の飢餓が、よくわからない。
ホテルの一本裏の通りに、あさってから使わせていただくECA(国連アフリカ経済委員会)の会議場がある。今日は入れないが、外から見ただけで立派だということがわかる。モダンなデザインに、広大な敷地。厳重な警備。エチオピアという国が、ますますわからなくなる。
ヤギを追い立てている子供たちがいた。子ヤギを抱かせてあげるといったので日本人のの一人が抱いた。そうしたらお金を請求してきた。その子とエチオピア人のメンバーとでちょっとした言い争いになって、結局エチオピアのメンバーが25セント払った(100セント=1ブル)。なんとなく気まずい感じになったので、そのままホテルに戻ってきた。
夕方はますます気温が下がった。部屋のシャワーは、2人が使ったらもうお湯が出なくなってしまうという最悪のものだった。4人部屋なのに。ルームメイトはみんなキレかけている。フィリピンやバングラでは水しか出なくてもいっこうに構わないのだけれど、この気温でお湯に入らなかったら肺炎になるような気がする。あきらめて私はこれからの書記の仕事のためにテープレコーダーや資料類をそろえて、それからみんなで日本から分担して持ってきた、お土産のTシャツやスタジャン、クレヨン、おくるみなどを回収して段ボールに詰めた。途上国のメンバーやエチオピアの子供たちにと、日本の企業に貢献していただいたものだ。

夕食の時間に、到着しているメンバーのあいだで自己紹介をして、会議(GYC)の準備の状況をきき、力づけあった。
夜はシャワーが再び出るようになっていた。水圧が弱く、いつ途中で水に変わるかわからないので大急ぎで使った。途上国で生活をすると、石鹸一つで全身洗えることがわかる。日本でなら、お風呂にはいるのに石鹸(ボディーシャンプー)、洗顔料、シャンプー、リンスと最低4種類の薬品を使うのに。もちろん、さらにトリートメントウォーターとかバススクラブとかメイク落としとかローションとか、いろんなものを使うこともある。自分の生活の中でどれがどのくらい必要なのかわからない。



つづく


        
 

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